美咲は春休みが終わるとともに大学に戻り、大学の講義や課題に追われる日々を送っていました。
普段から友達と一緒に過ごすことが多く、一人で行動することに慣れていませんでした。
しかし、伊豆高原での一人旅の経験をきっかけに、自分一人でも楽しめることを知り、少しずつ自信をつけていきました。

友達との予定がない日には、一人でカフェ巡りをするようになりました。
最初は緊張していたけれど、周りの人たちが自然に話しかけてくれたり、美味しいコーヒーやスイーツを提供してくれたりと、一人でいることが苦にならなくなっていきました。
また、美咲は大学生になってから続けているアルバイトもだいぶ慣れてきました。
始めたばかりの頃は緊張して失敗ばかりしていたけれど、一人旅も経験して今ではすっかり自信を持って接客をしています。
アルバイトしているのは「La Petite Patisserie」という名前のフレンチカフェです。
ある日、店内に入ってきたお客さんは、おしゃれな帽子をかぶっている常連の女性です。
「こんにちは、今日はキッシュのセットをお願いできますか?」
「はい、かしこまりました。すぐにご用意いたしますね」
美咲が応えると、女性はテーブルに向かって座りました。
しばらくして、美咲はキッシュとサラダ、パン、コーヒーのセットを運んでいきます。
「ありがとう。いつも美味しい料理で、ここでのお昼は癒やされるんですよ」
女性が笑顔で言いました。

La Petite Patisserieでも、最初は一人で慣れなかった業務も、最近は自分一人でも成し遂げられるようになったことを実感しています。
お客様との会話も、一人旅で知り合った人たちとのコミュニケーションと同じように、楽しいものとなってきたのです。
伊豆高原での一人旅をきっかけに、自分自身の可能性を広げることが出来たのです。
そんな日々を送っている美咲ですが、さちとの再会を心待ちにしていました。
あと数日で熱海のカフェで待ち合わせです。
そこで、春休み以来のさちに近況報告をしたいと思っています。
美咲は緊張しながらも、さちにメッセージを送りました。
「さちさん、こんにちは。熱海の日程は変わっていませんか?」
送信すると、すぐにさちから返信が返ってきました。
「美咲ちゃん、こんにちは。変更はありませんよ。今週土曜日の午後二時に熱海のカフェで待ち合わせですね。久しぶりに会えるので楽しみにしています。」
美咲はほっとしました。再会に向けて、ドキドキしながら準備をしていました。
どんな話をしようか、どんな格好をしようか、何を食べようかと考えていました。
そして、再会当日を迎えました。
熱海のカフェで、美咲はさちと再会しました。
再会したさちを見て、ほっとしました。
さちは相変わらずの明るさと元気さを持ち合わせており、美咲にとってはとても安心感がありました。

「さちさん、お久しぶりです!最近どうしてたんですか?」
「美咲ちゃんも、お久しぶり!美容師の仕事が忙しくって、毎日朝早くから晩まで働いてるんだ。」
「そうなんですか?お疲れ様です。」
「でも、仕事のおかげで、最近はお金を貯められて、自分へのご褒美としてヨガ教室に通ってるんだよ。」
「ヨガですか?それはすごい!私は学校も忙しいし、アルバイトもしてるから、最近は特に何もしてないですね。」
「そうなんだ、そういえばアルバイトは何してるの?」
「フレンチカフェで働いてるんです。バリスタのお手伝いをしてるんですよ。」
「なるほど、フレンチカフェって素敵だね。美味しいコーヒーとか、スイーツとかがあるんだよね?」
「はい、とっても美味しいですよ!」
さちは美咲の話を聞いて、ニコニコと笑っていました。
美咲はアルバイトの給料が入るから、ゴールデンウイークにどこかに行こうと提案しました。
「さちさん、ゴールデンウイークにはアルバイトの給料が入るから、どこかに行いきませんか?前から行きたかった場所があったら教えてください」
「そうだね、ちょっと考えてみるよ。どこか混雑しないところがいいかな」
さちは考え込んで答えました。
「どこか近場でいいんじゃないですか?海とか山とか、日帰りでもいいし・・・」
「そうだね、日帰りでもいいし、近場なら安く済むし」
美咲は嬉しそうに
「じゃあ、どこかいい場所を探してみますね!」
そう言って、スマートフォンを取り出しました。二人で旅行先を検討し始めました。
「この辺りには、高尾山や箱根山、富士山など、いろいろな山があるみたいだね。」
「富士山はちょっと大きすぎるかな。でも高尾山や箱根はどうかな?」
「そうですね。でも高尾山はアクセスが良くて、ちょっとしたハイキングにはぴったりだけど旅行って感じではないですよね。箱根は温泉もあるからいいかもしれないな。」
「私はどっちでもいいよ。美咲ちゃんは、どっちへ行きたい?」
さちが笑顔で答えました。
「じゃあ、箱根しましょうか。さちさんも温泉好きじゃないですか。温泉も楽しみだし、自然もたくさん楽しめそうですよ。」
美咲は決定しました。
「箱根は有名なだから、きっと観光スポットもたくさんあるんじゃないかな」
「大涌谷っていう温泉地があるみたいだよね。それに芦ノ湖とか、自然も豊かそうだし、楽しそうだね」
「そうですね。大涌谷は硫黄の匂いがするところで有名ですね。温泉もあるから、ゆっくり入りたいな」
「芦ノ湖もいいな。カヌーとかで周りを回ってみたいな」
「ぜひやりたいですね。それに、おいしいご飯も食べたいです」
美咲とさちは、箱根への旅行の日程だけ決めて、詳しいプランは後日相談することにしました。
熱海のカフェでの会話を楽しみ、時間が過ぎるのを忘れていましたが、そろそろ別れの時間が近づいていました。
「今日は楽しかったです、さちさん。また会えて嬉しかったです」
「私も、美咲ちゃんと会えて楽しかった。次はゴールデンウイークの箱根だね」
さちが笑顔で答えました。
二人は、カフェを出て、お互いに別れの言葉を交わしました。
美咲は、帰りの電車の中で、今日のことを思い出していました。
箱根の旅行が楽しみで、早く詳しいプランを話し合いたいと思っていました。
その夜さちからメッセージが届きました。
「どうしたんですか?」
すると、さちから
「ごめん、職場のスタッフが急にゴールデンウイークに仕事に来れなくなったので、旅行に行かれなくなってしまったの」
メッセージを受け取って、少し残念だったけれど、すぐに前向きに返信をしました。
「残念だけど、次の機会にしますね。きっとまた一緒に旅行できますよ。でも、急に仕事が入るなんて、大変ですね」
「そうなの。でも、こういうこともあるから、旅行は計画を立てるのも大変だけど、実現するときはとっても楽しいんだよ」
「そうですね。でも、今回は本当に残念でした。でも、次の旅行がさらに楽しみになりましたよ」
美咲はメッセージを送りました。
さちもきっと同じように感じています。
旅行は楽しみだけど、それ以上に大切なのは、二人の友情です。
次に会う時には、伊豆高原の時以上に楽しい思い出を作りたいと思いました。
「箱根か・・・どうしようかな」
さちと一緒に行く予定だった箱根旅行を断念することができず、再び一人旅を決めました。
「せっかく計画を立てたんだから、また一人で行ってみよう」
二回目の一人旅とはいえ、不安や緊張感は否めず、心の中で少し戸惑います。
「まだ慣れないけど、二回目の一人旅、頑張ろう」
自分に言い聞かせました。もちろん心の中では少し寂しさを感じています。
「でも、せっかくの旅行、楽しまなくちゃね!」
「箱根にはまだ行ったことがないから、今回はしっかりと楽しんでみよう」
改めて箱根一人旅の計画を立てることにしました。
